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東京高等裁判所 昭和24年(新を)2491号 判決

被告人

松村国太郎

主文

本件控訴を棄却する。

当審に於ける訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

被告人が心神耗弱者に該当するものであることは、原判決が既に認定しているところであり、心神耗弱者の行為は、其の刑を減軽すべきことは、所論の通りである。論旨にいわんとするところは、原審が刑法第三十九条第二項を適用したのみで、同法第六八条第三号の適用を遺脱しているから、不当であるというのに帰着するが、原判決が被告人に対し、その刑を減軽したものであることは、刑法第三十九条第二項を擬律していることから、明白であつて、唯その減軽方法を示した同法第六八条第三号をも適用したことを示さなかつたに過ぎないが、原判決は右第六十八条によつて、減軽した刑期範囲内である懲役一年を以つて、被告人を処断しているのであるから、単に刑法総則規定である第六十八条の適用を示さなかつたことは、判決に影響を及ぼすものとは、いえない。従つて、論旨はその理由がない。

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